退職日がすでに職場と合意できており、法人指定の様式がないなら、退職届は必要事項を簡潔に書けば足ります。最初に、横書きで使える例文を示します。日付・法人名・代表者名・所属・氏名は、自分の状況へ置き換えてください。
なお、「退職願」と「退職届」は一般に用途が異なりますが、実際の効力は表題だけでなく、文面や当事者の言動も含めて判断されることがあります。迷うときは、就業規則を確認し、人事へ「現在の段階ではどの書類を出すのか」を尋ねてください。
この記事でわかること:
- そのまま書き換えられる介護職の退職届・退職願の例文
- 提出前に確認する法人指定様式、雇用契約、退職日、宛名
- 利用者情報を私物へ持ち出さずに終える引き継ぎチェックリスト
そのまま使える介護職の退職届・退職願テンプレート
まずテンプレートを使い、あとから違いと提出手順を確認してください。職場指定の用紙がある場合は、以下ではなく指定様式を優先します。
退職届の横書き例文
退職届
私儀
このたび、一身上の都合により、
2026年9月30日をもって退職いたします。
2026年8月20日
社会福祉法人○○会
特別養護老人ホーム○○
介護課
氏名 ○○ ○○ 印
社会福祉法人○○会
理事長 ○○ ○○ 様
退職日が合意済みで、自分の退職意思を明確に届け出る段階を想定した例です。「退職いたしたく、お願い申し上げます」とすると退職を願い出る文面に近づくため、どちらを出すべきか決まっていない状態で言葉だけを入れ替えないでください。
退職願の横書き例文
退職願
私儀
このたび、一身上の都合により、
2026年9月30日をもって退職いたしたく、
ここにお願い申し上げます。
2026年8月20日
社会福祉法人○○会
特別養護老人ホーム○○
介護課
氏名 ○○ ○○ 印
社会福祉法人○○会
理事長 ○○ ○○ 様
退職希望日を示し、職場との合意を求める段階で使われることが多い文面です。退職希望日がまだ上司と相談できていないなら、書類を先に机へ置くより、面談を依頼して希望日と手続を確認します。
上司へ面談を依頼する文面
退職の話を、利用者やほかの職員がいる場所で突然始めないようにします。
今後の勤務について個別にご相談したいことがあります。勤務に支障のない時間で、20分ほど面談のお時間をいただけますか。
メールや業務チャットでは、最初から長い退職理由を書かなくても構いません。まず話せる場所と時間を確保します。
面談で退職日を相談する言い方
一身上の都合により退職を考えており、○月末を希望しています。就業規則に沿って進めたいので、必要な申出期限、提出書類、引き継ぎ方法を確認させてください。
退職意思が確定しているなら、「辞めようか迷っています」と曖昧に始める必要はありません。一方、契約期間の途中、休職中、退職勧奨を受けた後など事情が複雑な場合は、その場で書類へ署名せず、契約書や説明資料を確認してから相談してください。
退職届・退職願・辞表の違い
一般的な使われ方を整理すると次のとおりです。
| 書類 | 主な用途 |
|---|---|
| 退職願 | 使用者へ退職の合意を求める申し込みとして使われることが多い |
| 退職届 | 確定した退職意思を届け出る文書として使われることが多い |
| 辞表 | 役員や公務員などが職を辞する場面で使われ、一般職員は通常使わない |
厚生労働省の「退職、解雇、雇止めなど」では、合意退職の申し込みに退職願が使われることが多い一方、退職時期が争われる場合は文書の表題だけでなく、記載内容や当事者の言動なども踏まえて判断されると説明されています。
つまり、「退職届と書けば必ずこの効果」「退職願ならいつでも撤回できる」と表題だけで決めつけるのは危険です。法人指定の手続、上司との合意内容、自分が伝えた言葉も関わります。取り消す可能性がある状態で勢いだけで提出しないでください。
自己都合ではない可能性があるとき
自分の意思で通常の退職をする場合、理由を「一身上の都合」と簡潔にする例が一般的です。しかし、次のような事情がある場合は、自分からの自己都合退職として書いてよいか慎重に確認します。
- 法人から退職するよう繰り返し勧められた
- 採用時に示された労働条件と実際が大きく異なる
- 賃金未払いなど別の問題がある
- 契約更新を拒否された
- ハラスメントについて相談した直後である
このような場合、退職届の理由が雇用保険上の離職理由などに関わる可能性があります。この記事だけで判断せず、都道府県労働局の総合労働相談コーナー、ハローワーク、必要に応じて専門家へ確認してください。介護現場のハラスメントで記録を残す方法も、事実を時系列にする際の参考になります。
退職届を書く前の5項目
テンプレートを埋める前に、次の5点を確認します。
1. 法人指定の様式があるか
介護施設単位ではなく、運営法人全体で書式が決まっていることがあります。施設長宛てではなく理事長宛て、紙ではなく人事システムから申請、といった違いもあります。
退職に必要な指定様式、宛名、提出先を確認したいです。就業規則のどの箇所を見ればよいでしょうか。
この一言で、インターネット上の一般例をそのまま出して差し戻される手間を減らせます。
2. 雇用契約が無期か有期か
正社員という呼び名だけで判断せず、雇用契約書の契約期間を見ます。厚生労働省の労働契約ポータルでは、無期労働契約の場合は法律上、退職申出から14日を経過すると退職になるという一般原則が示される一方、合理的な就業規則上の手続を確認する必要があるとされています。
有期労働契約は、原則として契約期間途中の退職の扱いが異なり、やむを得ない事情などが関わります。「全員2週間前でよい」と自己判断せず、契約書を持って人事や公的窓口へ確認してください。
3. 就業規則の申出期限
「退職希望日の1か月前まで」など、法人の手続が書かれている場合があります。法律上の一般原則だけを見て、現実的な引き継ぎ期間を無視する必要はありません。健康や安全に差し迫った事情がないなら、合理的な手続を確認して余裕を持って申し出ます。
逆に、職場から「後任が採用されるまで退職できない」と期限なく引き延ばされる場合は、社内だけで抱えず公的窓口へ相談してください。
4. 退職日と最終出勤日
退職日は労働契約が終わる日、最終出勤日は実際に最後に出勤する日です。有給を使う場合、二つの日付が異なることがあります。
例:
- 最終出勤日:9月12日
- 有給取得期間:9月13日〜9月30日の対象勤務日
- 退職日:9月30日
実際の日程は有給残日数、シフト、引き継ぎ、法人との調整で決めます。求人を選ぶ段階から休暇と休日の運用を確認するには、介護の求人票で見るべき8項目も参照してください。
5. 宛名・所属・提出日
宛名は法人の代表者とする書式もあれば、施設長とする指定もあります。インターネットの例文を根拠に決めず、法人へ確認します。
提出日は書類を書いた日ではなく、実際に提出する日を記載する運用が一般的です。所属は正式名称を使い、氏名は自署を求められるか確認します。押印が不要な法人もあるため、慣例で印鑑を押す前に指定様式を見てください。
退職意思の伝え方と提出手順
ステップ1:就業規則と契約書を読む
申出期限、提出先、必要様式、貸与物返却を確認します。就業規則がどこにあるかわからない場合は、人事や事務へ閲覧方法を尋ねます。
ステップ2:直属上司へ面談を依頼する
緊急事情がない限り、同僚へ先に広く話すより、まず直属上司へ正式に伝えます。噂が先行すると、利用者や家族へ誤った情報が伝わることがあります。
ステップ3:退職意思と希望日を伝える
理由は必要以上に職場批判へ広げません。
今後の働き方を検討した結果、退職を決めました。○月○日を退職希望日として、就業規則に沿って手続を進めたいです。
条件交渉を受けても退職意思が変わらないなら、「お話はありがたいのですが、退職の意思は変わりません」と簡潔に伝えます。
ステップ4:退職日と書類を確認する
面談で話した日付を、後からメールなどで確認します。
本日の面談について、退職希望日は○月○日、最終出勤日と有給日程は別途調整、退職届は○○様宛てに提出する認識です。相違があればご連絡ください。
書類を出したかどうかだけでなく、退職日・最終出勤日・引き継ぎ期限をそろえます。
ステップ5:引き継ぎと返却を進める
退職届を出したら終わりではありません。進行中業務、定例作業、保管場所、貸与物を一覧にします。ただし、利用者の個人情報を自分のスマートフォンや私物のノートへ複製しないでください。
封筒・宛名・提出日の整え方
法人指定がない場合、一般に白無地の封筒が使われます。表面へ「退職届」または「退職願」、裏面へ所属と氏名を書く例が多いですが、封筒を不要とする職場もあります。
提出前チェックリスト:
- 法人指定様式の有無を確認した
- 「退職届」と「退職願」のどちらを出すか確認した
- 退職日が職場との認識と一致している
- 提出日を記載した
- 法人名・施設名・所属名を正式名称で書いた
- 宛名と役職を確認した
- 氏名・押印の指定を確認した
- コピーまたは提出記録を適切に残した
コピーを残す場合も、法人の機密情報や利用者情報を一緒に写さないようにします。退職届自体に利用者名を書く必要はありません。
郵送が必要な事情がある場合は、送付先・受取方法・添え状の要否を人事へ確認します。受取をめぐる問題があるなら、自己流で送付方法を決める前に公的窓口へ相談すると安全です。