結論から言うと、厚生労働省の調査では、処遇改善加算を取得する調査対象事業所の月給・常勤介護職員について、平均給与額の前年同月比増加が確認されています。令和6年9月の平均給与額は338,200円で、前年同月より13,960円増えています。ただし、これは対象事業所における集団平均であり、すべての介護職員や同じ人の昇給額を示すものではありません。出典と集計条件は厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」で確認できます。2026年の制度内容は介護職員の処遇改善・制度概要で確認してください。
この記事でわかること:
- 公的統計で見た介護職の給料の推移と「上がっている」の中身
- 2024年の加算一本化から2026年6月の臨時報酬改定までの流れ
- 自分の職場・給与明細で確認すべき3つのポイント
結論:2026年、介護の給料は上がっているのか
冒頭の繰り返しになりますが、答えを一表にまとめます。
| 問い | 答え(2026年7月時点) |
|---|---|
| 統計上、給料は上がっているか | 調査対象事業所の該当集団では平均給与額が前年同月比で増加 |
| 2026年に制度の追い風はあるか | ある(2026年6月に臨時報酬改定で処遇改善加算を拡充) |
| 全員一律に上がるか | 一律ではない(職場の加算取得・配分次第) |
公的調査で平均が増えていても、あなたの明細が自動的に増えることを意味しません。調査対象、雇用形態、勤務先の配分条件を分けて読む必要があります。
公的データで見る介護職の給料の推移
処遇状況等調査が示す平均給与額の伸び
介護職の賃金を測る公的な定点観測が、厚生労働省の「介護従事者処遇状況等調査」です。令和6年度の調査結果では、介護職員等処遇改善加算を取得している事業所の介護職員(月給・常勤)の平均給与額は、令和6年9月時点で338,200円。前年同月と比べて13,960円の増加でした。内訳を見ると、基本給の引き上げ、手当の増加、一時金の増加がいずれもプラスに寄与しています。
調査結果を読むときは、月給・常勤、時給・非常勤などの区分を混ぜず、比較対象と集計項目をそろえてください。平均給与額の変化だけから、資格取得や勤続が個人の昇給を生んだとは判断できません。
「平均」と「自分の明細」がずれる3つの理由
一方で、「そんなに上がった実感はない」という人も多いはずです。平均と個人がずれる主な理由は次の3つです。
- 平均給与額には手当・一時金が含まれる: 統計の「平均給与額」は基本給だけでなく各種手当や一時金を月額換算で含んだ数字です。基本給の伸びだけを見ると、体感はもっと小さくなります。
- サービス種類・地域・法人で差が大きい: 同じ調査でも施設種別ごとに水準は違います。平均より高い職場と低い職場が均されて338,200円という数字になっています。
- 社会保険料・税で手取りの伸びが目減りする: 額面が上がっても、社会保険料や税の負担増で手取りの伸びは額面より小さく見えます。額面と手取りの関係は手取りが少なく感じる理由の記事で詳しく扱っています。
つまり「統計は上がっているのに実感がない」のは矛盾ではなく、平均という数字の性質と、後述する配分のしくみから来る自然な現象です。
2026年の賃上げ施策の全体像|補助金から臨時報酬改定へ
2026年時点の制度を正しく理解するには、直近3年の流れを時系列で押さえるのが早道です。
| 時期 | 何があったか |
|---|---|
| 2024年6月 | 処遇改善系の3加算を「介護職員等処遇改善加算」へ一本化 |
| 2025年12月〜2026年5月 | 補正予算による賃上げ・職場環境改善の補助金(つなぎ支援) |
| 2026年6月 | 臨時の介護報酬改定で処遇改善加算を拡充 |
2024年6月:処遇改善加算の一本化
以前は「介護職員処遇改善加算」「特定処遇改善加算」「ベースアップ等支援加算」の3つが並立し、しくみが複雑でした。2024年度の報酬改定で、この3つは介護職員等処遇改善加算に一本化されています。いまだに旧制度名で説明している記事も見かけますが、現行制度は一本化後のものです。加算のしくみそのもの(国から事業所へ、事業所から職員へという3段構造)は処遇改善加算のしくみの記事で図解しています。
2025年度補正予算:賃上げのつなぎ補助金
2025年度の補正予算では、介護分野の職員の賃上げと職場環境改善を支援する補助金事業が実施されました。これは2026年6月の報酬改定を待たずに賃上げを先行させるための、いわば「つなぎ」の措置で、令和7年12月から令和8年5月までの期間をカバーする設計です。この期間に一時金や手当の形で支給を受けた人もいるはずです。
2026年6月:臨時報酬改定で処遇改善加算を拡充
そして2026年(令和8年)6月、通常の改定周期を待たない介護報酬改定が施行され、介護職員等処遇改善加算が拡充されました。対象サービスや職種の範囲にも変更があります。制度の現行内容は、厚生労働省の介護職員の処遇改善・制度概要で確認できます。
ここで大事なのは、制度改定が個人の一律昇給額を保証するものではないことです。事業所が取得する加算区分や配分方法で個人への反映は変わります。加算率・算定要件・具体額は改定されるため、この記事では固定せず、厚生労働省の公式ページへ誘導します。
全員一律に上がるわけではない|配分のしくみ
処遇改善加算のお金は、あなたの口座に国から直接振り込まれるわけではありません。流れは「国(介護報酬)→事業所→職員」の3段構造で、最後の「事業所→職員」の配分方法は事業所に委ねられている部分が大きいのがポイントです。
- 加算を取得していない・低い区分しか取得していない事業所では、そもそも原資が小さい
- 配分を基本給に乗せるか、手当や一時金で出すかは事業所の設計次第
- 経験・資格・役割などを配分条件にするかは、事業所の規程で確認が必要
だから「制度上は上がるはずなのに自分は変わらない」というケースが構造的に発生します。これは不正とは限らず、配分設計の違いであることも多いのですが、少なくとも自分の職場がどうしているかを知らないままでは、上がる・上がらないの判断すらできません。